南部弁と津軽弁の二人芝居! 〜演劇フェスティバル「北のまほろば」レポート〜

2024.02.23

令和5年10月に沖縄・与那国島で開催された、「危機的な状況にある言語・方言サミット」。

さまざまな地域において消滅の危機にある言語・方言の状況改善につなげるため開催されているこのサミットで、津軽弁と南部弁の二人芝居が上演されました。

演じたのは、長らく南部弁の保存・継承活動に取り組まれている八戸市公民館長の柾谷伸夫さんと、青森市で浪岡演劇研究会を主宰する長谷川等さんです。

 

★参考リンク

方言サミットで南部弁と津軽弁の二人芝居|文化・歴史|青森ニュース|Web東奥 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1652228

沖縄の与那国島で南部弁・津軽弁2人芝居|文化・歴史|青森ニュース|Web東奥 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1656446

南部弁と津軽弁の芝居披露 沖縄の方言サミットで柾谷さん(八戸)
https://www.daily-tohoku.news/archives/194564

 

 

ギャラリー展「紙から本ができるまで展2018」のクロージングイベント「方言詩の朗読と村さんとの思い出」や、「南部弁で味わう「盆土産」」DVD安藤昌益一人芝居「出立つ日 ~高橋大和守 出奔す・・・・・・ 安藤昌益 八戸を出て 比内二井田へ向かう~」などでご協力いただいてきた柾谷さんが全国的なサミットで南部弁のお芝居を披露されるということで、八戸ブックセンターのスタッフも興味津々……!でしたが、遠く離れた与那国島、行くことが難しい状況だったなかで、嬉しい公演情報が舞い込みました!

 


青森市の渡辺源四郎商店さんで行われる演劇フェスティバル「北のまほろば祭り」での上演です!

 

方言詩や、青森出身作家の作品などをとりあげたリーディングやお芝居が、月に一度、4ヶ月に渡って上演される「北のまほろば祭り」。

その最後の月に、二人芝居「こっただ面接ァある訳わげァねえ」が上演されるということで、2023年12月9日の公演におじゃましてきました!

 

 

今回の公演は、長谷川さんによるリーディングから始まり、二人芝居、そして柾谷さんの語りというプログラムです。

 


長谷川さんがリーディングした作品は、葛西善蔵の「雪をんな」。

 

私小説作家である弘前出身の葛西善蔵が書いた「雪をんな」は、自身が北海道にわたった経験が投影された作品です。

身重の妻を置いて出て行った男が、数年後に戻ろうとする道中で雪女と遭遇する……という物語。

 

津軽弁で書かれている小説ではないのですが、なんと、会話のみならず、語りも含め、津軽弁でのリーディング!

ぐっと北の雪国をイメージさせるものとなっています。

 


子どもや女性なども声で演じ分ける長谷川さんのリーディング。

観ている人たちも集中して聞いているようで、緊張するような雰囲気が会場内に満ちていました。

 

 

 

そして、二人芝居「こっただ面接ァある訳わげァねえ」。

 

八戸出身の男性がシニア向けの再就職試験を受けに行き、その面接官が深浦出身者という設定。

なかなかくせのある面接官で、受験者の反応に容赦なく厳しい評価をつけていきます。

 

 

序盤では、八戸の鮫出身だけれど「鮫」という地名の謂れは分からず、深浦の場所も分からないという受験者に、深浦のことを面接官が教えます。

千畳敷海岸やかぶと岩など、観光スポットがたくさん挙げられるのも楽しいシーンで、鮫という地名の由来の話や、八戸のスポーツチームの話題など、地域の話題で会話が進んでいきます。

 

 

面接官が知らないことについて、受験者が指摘する場面も。

「口の利き方が悪い!」と怒鳴る面接官。

どうもこの面接官は気性が荒めです。

 

 

 

後半では急に深浦のことも持ち上げはじめる受験者。

ここで採用されなければ家族が路頭に迷ってしまうと泣きのお願いもし、必死です!

 

 

ラストはいままでの流れをがらっと変える、驚くような展開!

ラストのセリフにもかかってきますが、津軽弁で人を罵る言葉のバリエーションはたくさんあるなぁとこのお芝居を観ていて感じました(笑)

 

 

 

そして最後は柾谷さんの南部昔コ一人語りです。

 

 

和尚さんと小僧の知恵比べの話や、柿の木が額に生えた怠け者の男の話、川から桃ならぬ芋が流れてくる話と、楽しい昔話が南部弁で語られました。

お話の合間には南部弁がうまく伝わらない会話のすれ違いエピソードも披露され、会場も笑いが絶えません!

 

公演後に、南部と津軽で、会場の反応が違うかお伺いしたのですが、どちらも狙ったところで笑ってもらえているとのこと。

狙ったところは外さない、さすが柾谷さんです!

 

 

渡辺源四郎商店店主の畑澤聖悟さんは、柾谷さん、長谷川さんのことを「ラスボス」と表現されていましたが、まさにその呼び名がふさわしいお芝居で、1時間ほどの公演はあっという間に過ぎていきました。

 

2日間限定で開催されたこの公演、参加できなかった方もいらっしゃるかもしれませんが、なんと、このたび、八戸でも同じプログラムが観られることとなりました!

令和6年3月5日に八戸プラザホテルで行われる八戸市読書団体連合会の新年研修会・新年祝賀会にて、上演されます!

 

詳細はこちら↓↓

 

【市読連・イベント情報】3/5(火)南部地方初上演!「南部弁(柾谷伸夫氏)と津軽弁(長谷川等氏)の二人芝居」(新年研修会並びに新年祝賀会)のお知らせ

 

こちらの公演は八戸市読書団体連合会の会員になっていなくても参加ができるものとなっています。

貴重な機会、ぜひお見逃し無いよう、チェックしてみてくださいね!

 

 

 

(スタッフnao)

 

 

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