第7回ビブリオバトルinハチノヘ 決勝戦レポート 【後編】
2021.01.17
〜前編はこちら〜
(※前編を更新してから、時間が経ってしまい申し訳ありません。あっという間に年を越してしまいました…。今年も色々なことをこのブログでお知らせしていこうと思います!どうぞよろしくお願いいたします。)
【決勝戦レポート後編スタート!】
一旦休憩を挟んで、いよいよ決勝戦が始まります!
会場は緊張感に包まれました…!!
(見ているだけの私も緊張し、手に汗がじわ〜…)
トップバッターは、八戸聖ウルスラ学院高校の工藤美陽さん。
紹介する本は『スウィングしなけりゃ意味がない』(佐藤亜紀:著、角川文庫)です。
物語の舞台は第二次世界対戦中のドイツ。主人公は、15歳の少年エディとその仲間たち。
敵国の音楽として禁止されたジャズを、大人から逃れて楽しむ姿がかっこよく描かれています。
JAZZ好きで、サックスも演奏する工藤さんのおすすめの読み方は、まずは一度そのまま読んでみて、二度目は章ごとに登場するJAZZナンバーを聴きながら読む、という読み方。
文章と曲が一緒になると、印象が変わって面白いそうです。
トップバッター、とても緊張したと思いますが落ち着いてお話されていて、JAZZが大好きな気持ちも伝わってきました!
2番目は、岩手県立大船渡高校の大川原菜摘さん。
紹介する本は『生き物の死にざま』(稲垣栄洋:著、草思社)です。
図書館で偶然手にとったというこの本。
色々な生き物の死にざまを紹介する、とてもユニークな本です。
短い話だと5ページのものもあり、ちょっとしたすきま時間に読むのにもぴったりだそうですよ。
大川原さんのお気に入りの死にざまは、「ハサミムシ」の死にざまだそうです。
ワンオペ育児に励むハサミムシ母、最後は子どもに自分の身を捧げて死んでいくのだとか…。
「自分はどう生きるか」ということは多くの人が考えると思いますが、「自分がどう死んでいくのか」ということを考えることはあまりないですよね。
自分の「生き方」を考えるのと同じくらい「死にざま」に向き合ってみるのも大切なのかも、と思いました。
おだやかな語り口でにこにこと「死にざま」を語る大川原さん、そのギャップに魅了されます。
3番目の発表は、高奥浩明さん。
紹介する本は、『ゴッホのあしあと』(原田マハ:著、幻冬社)です。
昨年話題になった『たゆたえども沈まず』の著者、原田マハさんによる作品。
画家・ゴッホと彼を支え続けた画商の弟・テオの足跡をたどりながら、ゴッホがどのように作品を作ったのかがわかるようになっており、『たゆたえども沈まず』の解説書としても読めるそうです。
会場からの質問で、「ゴッホに影響を受けた日本人画家は誰ですか?」との質問が出て、高奥さんは、「多くの画家が影響を受けたと思うが、一番身近にいる影響を受けた画家は若くして亡くなってしまった弟(高奥昌幸さん)」だと答えていらっしゃいました。
(高奥昌幸さんの作品はこちらのサイトでご覧いただけます。http://www2.wbs.ne.jp/~m-sano/)
芸術家の心の中や、支え続けた周りの人たちとのつながりを本で知ると、美術館に行くのももっと楽しくなりそうですね。
4番目の発表は、八戸聖ウルスラ学院高校の畠山京太郎さん。
紹介する本は、『少年鉄人』(山下貴光:著、宝島社)です。
発表の最初に「みなさんは、純粋ですか?」と会場に向かって衝撃的な質問を投げかけた畠山さん。
(ドキッ!として、う〜ん、純粋とは言えないなぁと苦い顔をしてしまった私…)
『少年鉄人』の主人公は鉄人(てつひと)という名前の小学生。
彼の口癖は「世界を変えるためや」という、大人が聞いたらちょっと赤面してしまうようなまっすぐさを持ち、その魅力で周囲の人を巻き込みながら通り魔事件に追っていきます。
高校生とは思えない堂々とした語り口でした!!
最後の発表者は、手嶋久敦さん。
紹介する本は『トイレは世界を救う』(ジャック・シム:著、近藤奈香:訳、PHP新書)です。
シンガポールの実業家、ジャック・シム氏が国連「世界トイレの日」を制定するまでの道のりを綴った本。
トイレと聞くと、なんだか汚い話かな…?と思ってしまいますが、全然違います。
世界にはまだまだトイレが整備された国が少なく、人口の半分がトイレのない生活、または下水処理されていないトイレを使用しているそうです。その実情を知ったシム氏はトイレを普及させる活動を始めます。
この本を読むと、世のため人のために、自分も何かできないかなと強く思うそうです。
さすが2019年度のチャンプ本紹介者、落ち着いてお話されていて、貫禄を感じました!
出場者5人全員の発表が終わり、会場投票へとうつります。
発表を聞いて、どの本が一番読みたくなったかを投票します。
第7回ビブリオバトルin八戸、チャンプ本は…
『生き物の死にざま』、岩手県立大船渡高校の大川原菜摘さんです!
実は岩手県立大船渡高校は第3回大会から決勝戦に連続出場している、ビブリオ強豪校。
毎年、学校行事としてビブリオバトルに取り組んでいて、学校の代表者を選出してこのビブリオバトルに挑むそうです。強さの秘訣は、ビブリオバトルに慣れ親しんでいるところかも…?!
大川原さん、おめでとうございます!
そして準チャンプ本は…
『トイレは世界を救う』、手嶋久敦さん!
今回初めてのビブリオバトル観戦でしたが、色々な方の発表を聞いて、自分の知らない本に出会う喜びを感じました。また、自分だったらどんな本を紹介しよう…と思いを巡らせるのもとても楽しいです。
来年も楽しみにしています!
発表者の皆様、本当におつかれさまでした!!
第7回ビブリオバトルin八戸が地元紙で取り上げられた記事はこちら
https://hachinohe.keizai.biz/headline/1453/ (八戸経済新聞)
(スタッフ・O田)