文庫本をオリジナルの愛蔵版に! ~八戸市立南郷図書館 製本ワークショップ~
2018.12.03
みなさんは、「手製本」と聞くとどんなイメージを持ちますか?
「手製本」のやり方を紹介した本は様々出版されていますがその細かい工程を見るとやはり「難しそう」というイメージが強く、私も実際にやってみたことはありませんでした。
平成30年9月8日に、八戸市立南郷図書館で初心者向けの製本ワークショップが開催されると聞き、(自分にもできるのだろうか…と半信半疑の気持ちを抱きつつ)参加してきました。
今回のブログではそのときの様子を作業工程とともにご紹介します。
教えてくださったのは南郷図書館の佐藤館長。
南郷図書館では過去にも一度製本講座を実施しているそうですが、そのときに「ちょっと難しかった」という参加者からの声があったため、今回はすこし簡略化した工程で紹介いただけるとのこと。
今回はこの本に表紙をつけてみました。
寺山修司の「あゝ、荒野」。河出文庫版です。
まずは、本にのりづけされている表紙をはぎとります。
(最初の工程から緊張……)
次に見返しをつくります。
さきほどはぎとった表紙のサイズにあわせて、紙を切ります。
最初のページと最後のページにつけるので、同じサイズの見返しを2枚つくり、のりしろ5mmで本体の外側に貼り付けます。
次に寒冷紗にボンドを塗り、
本体の背に貼りつけます。
寒冷紗は、製本用にガーゼに和紙を裏打ちしたもので、ここでは背を補強するために貼りつけます。
ちょっとざらっとしています。
はりつけるとこうなります。見返しの紙よりはすこし小さめに切って貼るのがポイント。
今回はしおりひももつけます。
何色も用意されていて迷いましたが、赤色にしました。
ひもの端をちょっと広げてのりづけし、
そのうえから花布(はなぎれ)をはります。
花布は本の厚さに合わせて切って使います。
しおりひもがつきました!
しおりひもをつけたあと、クラフト紙を3つ折りにして筒状にした「クータ」を、背に貼りつけました。これが背にあると、背表紙と本体の間に空洞ができ、ページが開きやすくなるそうです。
つぎに表紙をつくっていきます。
(ちなみに写真は表紙にあわせて厚紙、表紙の布を切った状態ですが、持っている本にあわせてサイズをはかり、厚紙の厚さなども考慮しつつ切るのが細かい作業で大変でした。。。)
まずは厚紙を布に載せて位置決め。
結構厚みがあるのがわかるでしょうか。丈夫なボール紙です。
角を落とし…
厚紙に布を貼っていきます。
いらない紙を下に敷いて、その紙ごと貼るときれいにできるということで、グッと貼りつけ。
厚紙の厚みの部分にもへらを使ってピタッと貼りつけ。
するとこんな感じになります。
(位置決めの写真と変化があまり見えないと思いますが、下に敷いているマットの枠数を数えるとひとまわり小さくなっているのがわかります……)
いよいよ、表紙と、本体を合体させます。
背表紙部分にのりをつけ、
上下のバランスを確認しながら貼りつけ。
次に溝をつくります。ヘラでのりのついた部分を押し込みます。
一気に「本」って感じがします…!
表紙と見返しの部分ものりづけし、上から重しをしつつ一晩くらい落ち着かせたら完成!
できあがった本がこちら。
最初の工程ではぎとった表紙の一部分を再利用し、表紙・背表紙に貼りつけて、タイトルがわかるようにしました。
表紙のデザインは自分しだい!
内容のイメージにあわせて布を選ぶのも楽しいですし、ボール紙を削って表紙に凹凸をつけることもできるそう。
大切な本にさらに愛着が湧く、手製本の魅力に触れることができたワークショップでした。
(スタッフnao)