広辞苑改訂から見た日本語の今 ~NHK文化センター講座レポート~
2018.05.19
今年の1月に10年ぶりに改訂版が発行された「広辞苑」。「上から目線」、「がっつり」など、現代語の追加項目なども話題になりました。
そんな広辞苑について、平成30年5月11日にNHK文化センター八戸教室で「広辞苑改訂から見た日本語の今」という講座が開催されました。
変化する言葉と向き合い、表現を磨きあげる中で、編集者たちは「日本語の今」をどう感じたか……ということで、講師としてご登壇されたのが岩波書店辞典編集部の平木靖成さん。広辞苑の編集には第5版から携わっているそうです。
講座で最初におはなしされていて、印象に残ったのが、辞典と事典の違いについて。
国語辞典は「ことばてん」、百科事典は「ことてん」とも呼ばれるそうで、国語辞典は言葉の意味を載せているから「ことばてん」、百科事典は物事についての説明だから「ことてん」。
広辞苑は国語辞典かつ百科事典でもあることが特徴です。「広辞苑によれば」とよく言われるくらい、信頼されているイメージのある広辞苑ですが、「ことば」も「こと」もフォローしているから、なんでも載っているんですね!
ところで、小説「舟を編む」では「右」を色々言い換えながら「体を北に向けたとき、東にあたるほう」と説明するシーンがありますが、わかりやすい説明と言っても、何が正解か、断定するのは難しいものです。
平木さんは「辞典には正解がない」ともおはなしされていて、たとえばひとつ前の版から語釈を変えたものがあっても、前の版の語釈が間違っているということではなく、よりわかりやすくするための修正であったりします。
そのひとつとして第7版は類義語の意味が修正されています。講座では「だししぶる」と「だしおしむ」などを例におはなしされていましたが、微妙な意味の違いがわかりやすくなっていることは第7版の大きな特徴といえそうです。
また、広辞苑はもともとの意味を先に、新しく使われるようになった言葉の意味をあとに記載しています。
例えば「敷居が高い」という言葉はもともと「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という意味ですが、現代では「高級で入りにくい」という意味でよく使われます。こういった場合、広辞苑は「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という説明を先に、「高級で入りにくい」という説明をあとに記載します。
すなわち、広辞苑をひけば、言葉の意味の変遷を知ることができるようになっているんです!
最後に、平木さんは「言葉をゆるやかに受けとめるための材料」として広辞苑を使ってみてくださいとおはなしされていました。自分とは違う言葉づかいを見聞きしたときは、私もすぐに広辞苑をひいてみたいと思います。
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◆書誌情報
「広辞苑 第七版 普通版」
発行:岩波書店
定価:完成記念特別価格8,500円+税(提供期限以降の価格 9,000円+税)
ISBN:978-4-00-080131-7
「広辞苑 第七版 机上版」
発行:岩波書店
定価:完成記念特別価格13,000円+税(提供期限以降の価格 14,000円+税)
ISBN:978-4-00-080132-4
※特別価格提供期限 2018年6月30日
http://kojien.iwanami.co.jp/
(スタッフ nao)