【パワープッシュ「八戸藩」】編集者・菊地泰博さんからのコメント

現在開催中の「パワープッシュ『シリーズ藩物語 八戸藩』」に関連し、本書の編集を手がけられた現代書館の菊地泰博社長より、コメントをいただきました。

「藩物語」のシリーズが刊行された背景や、目指していること、そしてこのたび発行された「八戸藩」のことなどについてコメントをいただいております。本に込められた想いを感じながら、ぜひ「シリーズ藩物語 八戸藩」をお手にとってみてください。

 

参考:
【パワープッシュ】「シリーズ藩物語 八戸藩」 https://8book.jp/bookcenter/1419/
【本のまち読書会】「シリーズ藩物語 八戸藩」を読む https://8book.jp/bookcenter/1464/

 

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「シリーズ藩物語」は、日本全国それぞれの土地に、それぞれに異なった歴史があることを、老若男女問わず幅広い読者の皆様に分かりやすく伝えることを意図して刊行いたしました。歴史的には近世と位置付けられる江戸時代は、それほど住み難い世ではなく、各地に後世「藩」と呼ばれることになる半独立国(公国)があり、それぞれの文化と人材の育成に勤しんでいました。「藩」は、300を優に超えますが、本シリーズでは、幕末の版籍奉還時に存在した藩を基準としています(その基準に照らすと全国に270藩ほどとなります)。また、本シリーズは原則として一藩一冊の刊行を目指しております。小藩で、現在の行政区としては存在しない藩は二藩で一冊の場合もございますが、これはあくまでも例外です。

また、アメリカ流を全世界の均一的思考と捉えるかのような「グローバリズム」に対し、日本的思考の原点ともいえる江戸時代の再評価を試みたいということも目論みの一つです。江戸幕府が瓦解した当時における各地の人材は、その後の日本を創る上で世界に類をみない豊富なものであったと思われます。藩には、各藩独自の家風や家訓、独特の「匂い」というようなものがあり、それはその地の藩士のみならず、その藩に居住する全ての人々に影響を与えているはずです。その「匂い」のようなものを、どうにか本シリーズで醸し出したいと常に試行錯誤を繰り返しています。藩の成立から瓦解、エピローグとして現在までを縦軸に(藩主の事績・各藩が輩出した人物・藩校における学問・戊辰戦争時の動向等)、各時代に躍動した人物や特徴的な風物・産品などを横軸にし、本文に加えて資料・絵・写真などを挿入することで、魅力ある一冊に仕上げることを心がけております。

シリーズ最新作の『八戸藩』では、うち続く凶作・飢饉を乗り越え、鉱業・漁業や交易で栄え、豊かな文化が華開いた八戸の歴史と人々の躍動が活写されています。先人たちの労苦に思いを致し、文化財の宝庫・八戸の源流を辿ることのできる一冊です。

それぞれの「藩物語」が、多くの方々の郷土の歴史に対する関心を喚起し、それぞれの郷土に誇りと自信を持っていただけるきっかけになれば、編集者として、これほど嬉しいことはございません。お国自慢にも寄与できる読物を製作できるよう引き続き取り組んでまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

株式会社 現代書館 代表取締役社長 菊地泰博

 

 

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