【ブックリスト「本はともだち」】保護者の方向けコメント2026

2026.06.25

 

八戸市内の小学生に、本が購入できるブッククーポン券を配布する「マイブック推進事業」。2014年から始まり、今年で13年目を迎えます。

マイブック推進事業について

2017年からは、クーポンとともに、おすすめブックリスト「本はともだち」を配布。小学生のみなさんに、「読んでみたいなあ」と思ってもらえるようなリスト作りをめざし、選書やレイアウトをしています。

保護者の方向けのおすすめコメントを作成しました。本を選ぶ際の参考にしてみてください。

文章を書いた人:ブックリスト監修の戸田山みどりさん

 

 

*以下、バナークリックで、コメントにジャンプします*






 

 


 

ものがたりをたのしもう!

 

『学校にひそむ きみんもんつき』

とみながまい/作 大串ゆうじ/絵 福音館書店(2026/1) 1540円

 「きみんもん」とは「きみのもの」のこと。「きみのものにつきまとう」から「きみんもんつき」です。妖怪ほど怖いものではなく、妖精ほど可愛いものではない、この不思議でやっかいな存在の中から代表して5つのきみんもんつきが紹介されています。気がつくと筆箱からなくなっている消しゴムや、体操着袋から逃走した紅白帽子に何が起きていたのか。きみんもんつきの仕業だよ、と言われれば納得するでしょうか。きみんもんつきの被害を未然に防ぐ、または被害を軽くするための対策もバッチリ教えてくれます。
 とは言ってもこれは、ちょっと脅して小学生が身の回りの持ち物について気を配れるようにさせましょう、という趣旨のものではありません。あくまでも、こんなものがいてこんなことをしているのかと思うと、なんだか楽しい、というための絵本です。学校生活で遭遇する思いがけない困った事態も、自分の不注意からではなく何かのせいかも、と思ったら、ちょっと気が楽になるかもしれません。その説明を周りの大人が受け止めてくれるかどうかはわかりませんが。
とするとむしろ、子どもたちが無くしものをきみんもんつきのせいにしたときに慌てないように準備しておくべきなのは、大人の方かもしれません。消しゴムを無くすなんて、たいしたことではありません。大目に見てあげましょう。でも、やはり、上履きは時々洗って欲しいですね…… 

 



『天才?発明家 ブロロッコイ ダイコンのうか大ピンチ!』

やまだゆーりー/さく・え ポプラ社(2025/2)1540円

 太い輪郭線、鮮やかな原色の平塗り、キャラクター化した野菜のポップな味わい、ナンセンスなメカ。横書きの紙面は隅々まで描き込まれていて、眺めているだけで楽しくなります(笑えます)。一冊に2つのお話が入っていて、一つ目が、やる気を無くしたダイコン農家をブロロッコイが救う話。二つ目は、ブロロッコイがご近所さんの愛犬たちを散歩に連れて行くお話。どちらも一筋縄ではいきません。どんな難題も「おメカせあれ」と引き受けるブロロッコイくんですが……

 沖縄の現役農家の児童書作家デビュー作。そのプロフィールに、いろいろと納得します。この鮮やかな色は南国っぽいな、とか、単純明快な配色のようでも野菜畑の緑色は何色も使ってあってリアリティがあるな、とか。農家を助けるさまざまな発明品は、日々の作業で感じた実感がこもっているのではないかしら、とか。例えば、マッサージをされている間に土を耕してくれるメカ、「モミモミらくちんトラクター」は、実際に作業の間に思いついたのだとか。現地沖縄では、破格の人気というこの作品。出版から半年後の作家インタビューの記事を『琉球新報』のインターネット・サイトで読むことができます。

 

 

 


せかいをひろげよう

 

『このほしのこども』

吉田尚令/作 あかね書房(2024/11)1760円

 

 第29回日本絵本賞最終候補

 表紙をめくると扉にはミサイル攻撃の場面が描かれています。2022年2月のロシアによるウクライナへの侵攻、2023年のイスラエルによるパレスチナへの攻撃、さらにはアメリカ合衆国も参加してのイランとの戦闘という戦争状態が続いています(その後、一応「停戦」になりますたが)。他国との戦争だけでなく、たとえばターリバーンに政権が奪取されたアフガニスタンでは、子どもたち(とくに女の子)が教育の機会を奪われるなどの被害を受けています。アフリカではスーダンやコンゴ民主共和国で激しい内戦が今も続いています。絵本の中で、奪われた日常として描かれているのは、そういった地域を連想させる風景、ウクライナのひまわり畑やパレスチナのオリーブ畑、中東の歴史あるバザールの建物、アフガニスタンの教室などです。

 今は平和が続いている日本もまた、80年ほど前まではアジア諸国に侵攻し、子どもたちを含む死者2-3千万人と言われる被害を与えていました。それは沖縄や当時の植民地であった満州などでの地上戦を含めて、日本の民間人数十万人の犠牲を招く結果となりました。戦争はよその国だけのことではありません。

子どもたちにできることは、どの子どもも皆同じように安心して暮らし、生きていけるようになることを願うことだけです。子どもたちがその願いを忘れずに大人になれば、いつか世界中が何事もなく日々を重ねられる時がくるに違いありません。何もできなくても、知ることはできる、それが希望だ、と静かに伝えている絵本です。

 



『きたかみがわ』

村松昭/さく 偕成社(2022/12)1980円

 

 奥羽山脈と北上山地の間を流れ、新幹線や幹線道路から目にする機会の多い北上川。東北で最も長いというだけでなく、全国でも4番目の長さです。この絵本では、源流の七時雨山から仙台湾の旧北上川と追波湾の北上川河口の2箇所の終点まで、時には過去に遡って流域が紹介されています。縄文の昔から人々が住み、平安時代には畿内の勢力に抵抗した蝦夷と呼ばれた人々がいたことをしのんで、案内役には土偶の姿の神様と蝦夷のおとこの子が登場します。

上流には御所湖などの大規模なダムが、一関付近の盆地には広い遊水地が作られています。さらに下流の宮城県登米市では川の流れを振り分けて南に抜ける旧北上川と北に流れる北上川の2本にするために、水門や洗堰が設けられました。いずれも緩やかな流れが引き起こす洪水対策です。一方、奥州市付近では水の便がよくない奥羽山脈の扇状地に用水路を引く必要がありました。水争いを解決した胆沢の円筒分水工も紹介されています。

終着点の石巻市の二つの河口付近は、それぞれ東日本大震災の津波の被害の大きかったところでした。とくに、震源地のある北を向いてひらいた追波湾に注ぐ北上川の本流では、遡上した津波により大川小学校の児童と教職員が大きな被害を受けました。忘れることのできないできことです。

 



『注意読本』

五味太郎/作 実業之日本社(2025/11)1980円

 小学校5年生の国語で手話と点字について学ぶ。手話は世界各地でそれぞれに発展した自然言語で、日本で用いられているものは日本手話と呼ばれ、日本語とは異なる文法を持つ。手話では「手」が重要な役割を果たすが、その名前に反して手だけで表現するわけではない。眉の動作や口元などの顔の表情や、首の動かし方も意味を持っている。聴覚に障害のある人がすべて手話でコミュニケーションを取っているわけではないが、手話は騒音などで音が聞こえにくい場所でも便利なものらしい。今年の11月には東京で、4年に1回実施される夏季デフリンピック競技大会が開催される。それにあわせて、聴覚障害者のスポーツに関連する情報も増えている。この機会に「見る言語」である手話の世界をのぞいてみよう。

 著者のスギヤマカナヨは手で見る学習絵本「テルミ」編集長。「みることばさわれることば 手話えほん」はこれまでに3冊が出版されている。

 



『巨石運搬! 海をこえて大阪城へ』

鎌田歩/作 アリス館(2024/12)1760円

 今から400年以上前、大坂城の石垣を作るために、瀬戸内海の島から石が運ばれました。これはその時の巨大な石(というよりも岩山を切り取ったもの)の切り出しから運搬までの過程を描いたもの。当時の石曳図屏風や築城屏風を参考にして描かれているので、職人の服装や道具は正確なものです。どんなお城も、結局は職人の仕事で出来上がっているのだ、と思うと、今は名前の伝わっていない大勢の人々の仕事の大きさを実感します。

ところで、現在も目にすることができる大坂城の石垣は、有名な豊臣秀吉の時代のものではありません。秀吉が建設した豪華絢爛だったという大坂城は徳川勢の攻撃による大坂夏の陣で炎上します。さらに、その直後には当時の石垣を含めて城全体が徳川秀忠の命によって埋められてしまいました。絵本で描かれている現在残っている石垣は、徳川幕府が大勢の大名に命じて作らせたもの。しかし、絵本の終盤、建設中の姿が描かれている天守は数十年後に落雷による火災で失われてしまいます。徳川時代に建てられた櫓などのその他の建物は、幕末の混乱期の火事で多くが失われてしまいました。現在大阪城の場所に建っているのは昭和6年に、豊臣時代の天守閣を模してコンクリートで再建された復興天守閣です。なお、2025年、発掘された豊臣時代の石垣をみることができる施設「大阪城 豊臣石垣館」が開館しました。お城のたどった運命を振り返ってみるのも興味深いかもしれません。

 



『うさぎのしま』

近藤えり、たてのひろし/作 世界文化社(2025/6)1980円

 「うさぎの島」とは、広島県竹原市大久野島のこと。瀬戸内海に浮かぶ周囲4キロほどの小さな島です。この島は、放し飼いのウサギと触れ合うことができる島として観光スポットになってきました。国立公園内ですが、人に慣れたウサギを撫でたり、餌をあげることができます。
 大久野島は、もとは住民もある島でしたが、軍事施設が造られて民間人は立ち退きを命ぜられ、さらには地図からも消されました。太平洋戦争で使用された毒ガスがこの島で製造されるようになったのは1929(昭和4)年のことでした。当時の国際法でも戦争時の毒ガスの使用は禁止されていました。したがって、兵器としての毒ガスの製造は軍事機密でした。工場は戦況の拡大とともに規模を拡大し、1940年には工場内に技術者養成所が設けられ、14-5歳の少年達が集められたと言います。戦争末期には中学生や女学生が動員され、毒ガスの運搬や風船爆弾の気球の製作に従事させられました。ここで製造された毒ガスは中国大陸で大量に使用され、多くの人命を奪い、多数の人々を後遺症で苦しめることになります。戦後、島に残されていた毒ガスは日本軍や進駐軍によって廃棄されましたが、製造に携わった人々の中には数十年後に発症した後遺症に悩まされた人々が少なくなかったということです。
 いっぽう、国が保有し無人島のままだった島には、1960年代の観光ブームの中で1963年に国民休暇村が開業します。数年後、観光の目玉にという理由でカイウサギが放され、野生化しました。カイウサギは日本の在来種ではなくヨーロッパ原産のアナウサギのうち、飼育用に品種改良したものです。人によって飼われることが前提ですが、ほとんど天敵がいない気候温暖なこの島では、数が増えました。戦争中に実験動物として飼われていたウサギは戦後に処分され、絶滅したと考えられていますが、今いるウサギたちは、かつてこの島が毒ガスの島だったことを思い出させる存在と言えます。
 うさぎの島は、特定外来生物でもあるカイウサギが国立公園内で繁殖するという、生態系の保全を図るはずの環境省の方針とそぐわない島でもあります。また、日本軍の戦争犯罪である毒ガス製造に関連した戦争遺構は老朽化が進みつつあります。ここは、さまざまな課題が集積した島でもあるのです。ふりかえって、自分の住んでいる土地にはどのような来歴があるのか、ということも考えさせられます。



 


しぜんかがくっておもしろい!

 

『クラゲのくらし』

水口博也/著 少年写真新聞社(2024/7)2200円

 たいていどこの水族館でも室内の暗い一角にクラゲの水槽があります。 闇の中でライトに照らされてふわふわと泳ぐ姿はいつ見ても神秘的。でも、この点対象(基本的にほとんどのクラゲは円筒形と言えましょう)の姿は他の生き物とはずいぶん違っているので、ものを食べたりする様子は想像がつきません。

 この本では、そんなクラゲの暮らしぶりをさまざまな場面の写真で紹介しています。深い海の中にだけいるものだと思っていたら、淡水にもいるのだとか、太陽の光を浴びるように水面近くで泳ぐ姿であるとか。毒を持つ種類のクラゲに身を寄せて暮らす魚もいるのだとか。

 透明だったり、発光していたり、反射していたりと、クラゲの美しい姿を堪能できる写真集です。

《こども家庭庁こども家庭審議会推薦 児童福祉文化財(令和6年度児童福祉文化財推薦作品)》

《第30回日本絵本賞 最終ノミネート選定図書》

《全国学校図書館協議会 絵本委員会「2025えほん50」選定図書》

《日本子どもの本研究会選定図書》

《全国学校図書館協議会選定図書》

 

 



『ビーチサンダル号 海へ! プラスチックゴミから船をつくった少年

L・R・ロッディング 、D・パバリー/文 M・M・ムワンギ/絵 千葉茂樹/訳 あすなろ書房(2024/8)1870円

 カラフルなビーチサンダルと使って作られたシートを貼られたビーチサンダル号は、英語ではフリップフロッピ号と呼ばれます。ビーチサンダルは英語ではフリップフロップ(=ピタパタという感じの擬音語)と言います。フリップフロッピのプロジェクトは、第一号が完成した2018年で終わることなく、今では廃プラスチックを材料とした家具製作工場を運営するなど発展して継続しています。約70年前から大量生産が始まったプラスチックは、自然界では分解せず、現在ではマイクロプラスチックの形で、水中だけでなく空中や土壌にも蓄積していると考えられています。日常生活で不可欠のプラスチックですが、正しい捨て方をしなければ今後ますます汚染が広まってしまうでしょう。そして、フリップフロッピ・プロジェクトで提唱されているように、これ以上の環境破壊を避けるためには、使い捨て利用を減らすことも必要でしょう。

 



『ほるんだ、恐竜化石! モンゴル恐竜発掘記

平田貴章 /写真・文 小林快次/監修 ケータ/イラスト 小学館(2025/7)1760円

 毎年のように新発見が発表される恐竜学の世界。この写真絵本は、その恐竜学の最前線の一つであるゴビ砂漠の発掘現場の様子を紹介するものです。はなばなしい研究成果を支えているのは、炎天下の地道な作業。人家から自動車で二日以上もかかる砂漠での野営は、それ自体が冒険です。それでも、何が出てくるのかわからない未踏の地が広がっていると思うと、好奇心がかき立てられるのでしょう。恐竜好きになったら、図鑑で最新情報を確認するだけでなく、それを発見した研究者たちにも興味を持ってもらいたい、という図鑑制作者の期待を感じます。

 最近ではそんなに遠くないところでも、新たな化石の発掘が報告されています。八戸から自動車で1時間ほどの久慈市では、モンゴルで発掘されているのと同じ後期白亜紀の恐竜の化石が続々と発見されています。でも、八戸では恐竜時代の化石は見つかっていませんね。化石に興味を持ったら次は、化石が出る場所と出ない場所はどう違うのか、と、地質の違いにも注目してほしいものです。

 



『昆虫のふしぎ発見図鑑 近所の虫のすごさコレクション』

安田守/写真・文 山と渓谷社 (2025/2)1980円

 

 ご近所にいる昆虫(と、いくつかのクモ)だけでも、こんなにいろいろな世界があるのだ、とわかります。撮影場所は著者の住む長野県南部の田園地帯。畑や河原、雑木林、さらには自宅の玄関先で見つけた昆虫たちの姿です。真横から、真上から、顔の正面から、とさまざまなアングルから捉えられた成虫や幼虫たち。卵のアップ。卵を守るために親が葉や泥を使って作る巣。昆虫が食べた形が残る葉のコレクション。そして、さまざまな昆虫の糞比べ。あの小さな姿の中に、こんなに複雑で独創的な造形が詰め込まれているのだ、と思うと、驚くと同時に、少々もうしわけない気分になります。今までの生活では、昆虫を直視できないまま生きてきましたから。

 昆虫というと、どうしても人間の生活に関わる場面、たとえばサクラの枝を丸裸にするアメリカシロヒトリの大発生などばかりが注目されてしまいます。けれでも、圧倒的に多くの昆虫は鳥などに食べられることで生態系に貢献しています。それぞれの種が生き延びるために、進化の果てに獲得したさまざまな戦略は、見ていて楽しいだけでなく、生物の不思議な力をあらためて知らせてくれます。




『ある星の汽車』

森洋子/作 福音館書店(2025/10)1980円

 

 果てしない大地をいく汽車を巨大な月と満天の星が照らします。古風でちょっとお尻の硬そうな向かい合わせの座席に座っているのは、おめかしした動物たち。大きさも種類もさまざまです。よく見ると俯いて本を読んでいる男の子が一人。隣で眠っているのはお父さんでしょうか。この車両に人間は彼らだけのようです。動物たちは服装もさまざま。男の子の後ろに座っているイヌ科の集団は、ドレス姿もあれば着物姿もいたり。これは、地球上の動物たちが乗り合わせている、いわば地球号とでも呼ぶべき乗り物です。

列車が駅に到着すると1と組ずつ乗客が降りて行きます。最初に降りたのは表紙にも描かれているモーリシャスドードー。駅には1681という数字が。これはその種が絶滅した年を示しているのです。続々と降りていく動物たち。ニホンオオカミのように絶滅の年が明確にはわかっていない(絶滅したと断言できない)種は、ひっそりといなくなっています。気がつくと車内はずいぶん空いてきました。人間はいつまで乗っていることができるでしょうか。

文章ではなく絵によって語られる情報の多い作品でもあります。動物たちの持ち物にも注目してください。絶滅した日本産のトキの膝の上には、ドジョウの入ったガラス鉢が載っています。トキは農薬による汚染で田んぼのドジョウなどの餌となる生き物がいなくなったことが原因で絶滅したのでした。背表紙に描かれているヒナが勲章のように首からかけているのは、途中で窓から飛び立っていってしまったアルバトロスの奥さんがかけていた首飾りです。1949年に絶滅したとされたアルバトロス(アホウドリ)は、その後の再発見と保護の結果、2016年に自然繁殖が復活したのです。まだ希望はあるということでしょう。読者は、描きこまれたヒントを読み解いて、理解を深めることが求められているようです。

「第31回日本絵本賞」大賞

 



『リュウグウの砂に挑む チームで小惑星のサンプルを分析』

伊藤元雄/著 さらちよみ/絵 くもん出版(2025/9)1760円

 2020年12月、日本の研究機関が鹿児島県種子島宇宙センターから打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」が戻ってきました。6年かけての長旅で、目的地である小惑星から砂のサンプルを持ち帰ってきたのです。地球では大勢の科学者がその砂に対面することを心待ちにしていました。この本の著者もその一人です。国立研究開発法人 海洋研究開発機構(通称JAMSTEC)の高知コア研究所では、小惑星のサンプルをナノシムスという機械を使う分析で、中に含まれる元素を割り出します。地球の軌道の外にある小惑星や、さらに微細な粒子は、隕石となって絶えず地球に降り注いでいるのですが、地表にたどり着くまでに大気突入の際の熱で消滅したり成分が変成したりして、宇宙にあるときの姿を知ることはできません。探査機が持ち帰ったのは、小惑星の上であった時そのままの姿の砂なので、太陽系ができた46億年まえの鉱物がどのようなものであったかを知ることができます。
 地球の生命の謎の一つに、そもそもなぜそれが発生したのか、というものがあります。生命発生のメカニズムはいくつかの仮説が提唱されていますが、その一つに、宇宙から隕石の形で生命の源となる物質が落ちてきたから、というものがあります。水やアミノ酸の元となる物質は、創成期には地球上にも見られたのですが、他の惑星とぶつかりながら現在の大きさになるまでの間に地表が高温となったために失われたと考えられています。その後、再び地表が冷えた時に、隕石として降ってきた水やアミノ酸の元となる物質が、現在の生命誕生に関わっていると考えることができるのです。小惑星の砂の中に生命の元となる物質が見つかれば、この説を補強することになります。
 著者を含むJAMSTECのチームは、リュウグウと名付けられた小惑星から生物を形成する有機物を発見します。その成果は、宇宙物理学、宇宙工学、分析化学、地球物理学、その他さまざまな分野にまたがる研究者たちの、さまざまな創意工夫の賜物です。

 



2026ブックリスト「本はともだち」





 

 

 

 

 

 

 

 

ブッククーポンとともに配布している「本はともだち」は、ことしあたらしく、みなさんにおすすめする本を紹介するものです。なんどもくりかえし読んでみたくなるわくわくするおはなしや、おとなになってもやくにたちそうな情報いっぱいの本など、ながくそばにおいてもらえる本をえらんでいます。


「本はともだち2026」作成メンバー

監修:戸田山みどり(八戸工業高等専門学校 名誉教授、日本児童文学学会会員)

編集・イラスト:森 花子(八戸ブックセンター)

八戸市学校司書 八戸市立図書館職員

 

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