安藤昌益から、羽仁もと子へ。~「安藤昌益資料館開館8周年記念シンポジウム」レポート~
2017.11.23
安藤昌益が八戸に滞在していた18世紀半ばから約100年後。ロシアから、キリスト教の一種である東方正教が東北各地に広がるなかで、明治9年に八戸光栄教会が成立しました。教会成立の中心となったのは、源晟(みなもと・あきら)という人物で、八戸での自由民権運動を牽引した人です。また、源晟の妻の姉は、自由学園の創設者として知られる羽仁もと子の義理の祖母にあたります。
11月18日に開催された「安藤昌益資料館開館8周年シンポジウム」は、安藤昌益から、源晟、羽仁もと子と連なる平等思想の流れをひもとくものとなりました。今回のブログではシンポジウムのようすをレポートします。
基調講演を行ったのは、帝京大学准教授の山下須美礼さんです。東方正教の受容を通じ、北東北の近世から近代への移行期について研究されており、青森県史の編さんにも関わっておられます。基調講演では、函館を窓口に流入した東方正教がどのようにして広がっていったかという経緯や、具体的に八戸においてはどのように広がったか、そして源晟とそのまわりの人物らなどについても詳しくおはなしされたうえで、羽仁もと子が東京で学びたいと望んだときにもそれに対して寛容な環境があったことについて述べられていました。
後半は、コーディネーターに、八戸歴史研究会会長の三浦忠司さん、パネリストに八戸学院大学教授の木鎌耕一郎さん、学校法人千葉学園千葉幼稚園園長の岡本潤子さん、そして基調講演を行った山下須美礼さんが登壇し、パネルディスカッション形式で「平等思想と安藤昌益」をテーマに語られました。木鎌さんはキリスト教学や西洋思想を専門にされており、岡本さんは羽仁もと子研究者ということで、それぞれの視点から平等思想、そして安藤昌益について語られており、とても興味深いおはなしの数々を聞くことができました。
八戸ブックセンターでは、今回のシンポジウムのコーディネーターである八戸歴史研究会会長の三浦忠司さんに「安藤昌益の生き方と社会を変える思想を解き明かす」というテーマでお選びいただいた本、そしてパネリストとしてご登壇された八戸学院大学教授の木鎌耕一郎さんに「北東北とキリスト教」というテーマでお選びいただいた本を館内に陳列しております。シンポジウムに参加された方も、そうでない方も、ぜひご覧になってみてくださいね!
(スタッフ nao)
■「安藤昌益資料館開館8周年記念シンポジウム」
日時:平成29年11月18日(土)13:00~
場所:天聖寺ホール
主催:安藤昌益資料館を育てる会